喫茶去 草の庵

志戸呂の重ね茶碗

遠州流茶道の流祖小堀遠州公が、切形を送って好みの道具をつくらせた全国各所の窯を「遠州七窯」と呼び習わします。そのひとつである志戸呂の本多利陶作の重ね茶碗です。上のお茶碗の直径が11センチほどと小ぶりのもので、やさしい色味の釉薬もあわせて、お気に入りなのです。

前押せという、まあるいお茶碗の正面をちょっと窪ませた形は遠州公の好み。お茶碗はもちろんふたつでワンセット。形が似ていても大きさが程よくても、ほかのお茶碗と組み合わせることはありません(多分、ですけど…)。

このお茶碗で薄茶を点てます。上下のお茶碗を交互に点てては出し、返されたら清めてまた点て…と、お客様が何人いてもひたすらにお茶をお出しすることができるという、なかなかゆかいなお点法です。